ラミクタール(一般名:ラモトリギン)は「てんかん」「双極性障害の鬱症状」の改善に使用されている治療薬です。
ラミクタールには、脳内における神経の過剰な反応や興奮を鎮静させる作用があり、その結果としててんかん発作を抑える役割があります。
しかし、ラミクタールには治療薬としての優れた効果だけでなく、重大な副作用・危険性があることも事実です。
この記事では、ラミクタールの効果・特徴を紹介しながら、服用する前に知っておきたいリスクを詳しくまとめました。
具体的な副作用・対処法・注意点を解説していますので、ぜひ参考までにご覧ください。
ラミクタールとは?基本的な効果と特徴を解説
ラミクタールは「抗てんかん薬」として開発された医薬品で、ラモトリギンという一般名でも呼ばれることがあります。
また、ラミクタールは双極性障害の治療薬としても有名です。
うつ症状を改善するために用いられることがあり、精神系の病気で悩んでいる方々の中では知名度が高い薬と言えます。
そんなラミクタールの基本情報からまずは見ていきましょう。
ラミクタールはてんかん・双極性障害の治療薬
ラミクタールは2008年10月に厚生労働省にて承認された治療薬です。
主な効果は「てんかん発作の抑制」と「双極性障害における鬱症状の改善」となっています。
- てんかん発作の抑制:脳内の過剰な興奮を抑える作用
- 気分の安定化::双極性障害のうつ症状を軽減し、再発を予防する作用
てんかんや双極性障害に関する症状に対して幅広く作用するところがラミクタールの特徴です。
また、治療に用いる際は少量から服用をはじめ、徐々に量を増やしていくことが一般的です。
近年ではラミクタールのジェネリック品も多く開発されていて、費用を抑えながら服用を続けることも可能となっています。
ラミクタールが効果が出るまでの期間は?
ラミクタールは鬱(うつ)の症状にも効果がある?
ラミクタールが怖いと言われる理由と主な副作用|重大な危険性について
ネット上で「ラミクタール 怖い」と検索する人が多いのは、実際に重大な副作用・危険性があるからです。
ラミクタールは有効性が高い一方で、使用時にはいくつかの副作用に注意しなければなりません。
ここではラミクタールの主な副作用・対処法・重大な危険性(過去の死亡事例)をまとめていますので、服用前にぜひ確認しておいてください。
主な副作用
ラミクタールを服用することで現れる可能性がある主な副作用は以下の通りです。
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群、SJS)
- 中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)
- 薬剤性過敏症症候群(発疹、発熱、浮腫みなど)
- 再生不良性貧血
- 汎血球減少
上記の副作用に伴い血液障害・肝機能障害などが生じるリスクもあります。
発疹や胃腸障害(吐き気や下痢)といった軽度の症状が現れたときには、すぐ医師へ相談し服用の継続可否を確かめましょう。
副作用への対処法
ラミクタールを服用する場合には、あらかじめ副作用への対処法を理解しておくことが大切です。
- 初期症状を見逃さない:皮膚の異常や全身の倦怠感を感じたら、すぐ医師に相談しましょう。
- 用法用量を守る:指示された量を守ることが副作用リスクを抑える最大の対処法です。
- 定期的な受診:定期的に医師の診察を受け、副作用がないか確認することが重要です。
なお、成人のてんかん患者がラミクタールを服用する際の上限量は400mg(1日あたり)です。
医師の判断により100mgずつ増量するケースもありますが、患者個人が勝手に服用量を増やすことは厳禁です。
重大な危険性とリスク
平成26年9月~12月の間に、本剤との因果関係が否定できない重篤な皮膚障害を発現し死亡に至った症例が4例報告され、いずれも定められた用法・用量を超えて投与された症例であったこと等から、添付文書の「使用上の注意」を改訂し、警告欄に必要な注意事項を追記するとともに、「安全性速報(ブルーレター)」により、医療関係者等に注意喚起を行うこととしました。
ラミクタールによるてんかん・双極性障害(うつ症状)への作用
ここからはラミクタールによるてんかん・双極性障害(うつ症状)への作用を解説していきます。
ラミクタールは、てんかん治療の中でも特に部分発作や全般発作の予防に効果的です。
脳内の神経伝達を安定化させることで発作の抑制作用が期待できます。
てんかん発作の仕組みとラミクタールの作用
脳内の神経細胞が異常に興奮することで「てんかん発作」は生じます。
脳神経が通常とは異なる働きをすることで痙攣・意識障害などを誘発するということです。
こうした脳神経の異常に対して、ラミクタールは以下の作用を与えます。
- 脳神経の過剰な働き(電気信号の発信)を抑える:ラミクタールは興奮性神経伝達物質の放出を抑制し、てんかんの発作を予防します。
- 部分発作と全般発作に対応:ラミクタールは幅広いタイプのてんかん発作に効果を発揮します。
ラミクタールは小児から成人まで幅広い年齢層に対して処方されている治療薬です。
ほかの抗てんかん薬と併用することもあり、様々な治療方法が取れるようになっています。
双極性障害の仕組みとラミクタールの作用
双極性障害とは躁状態と鬱状態を繰り返す精神疾患のことです。
普通の人よりも気分・メンタルの起伏が激しく、さらに睡眠障害・摂食障害・著しい集中力の低下などを引き起こすことがあります。
- 気分の安定化:ラミクタールは鬱状態の再発を防ぎ、安定した精神状態を維持する作用があります。
- 抗うつ薬との違い:他の抗うつ薬と比べて継続的な服用が可能です。
うつ症状を改善することで患者の生活の質を高める効果も期待されています。
ラミクタールの注意点と安全な服用方法|併用注意の薬について
ここからはラミクタールの注意点と安全な服用方法を解説していきます。
ラミクタールを安全に使用するためには、基本的なルールを守らなければなりません。
用法用量を守ることで副作用のリスクが抑えられ、継続的な服用が可能となります。
ラミクタールの注意点
ラミクタールを服用する際の主な注意点は以下の通りです。
- 併用薬の確認:併用注意に指定されている薬を一緒に飲まないようにしましょう。(医師と相談が必要)
- 服用を急に中止しない:薬を急にやめると症状が悪化する可能性があります。
- 医師の指示に従う:適切な量とスケジュールを守りましょう。
併用に注意が必要な薬については次の項目をご覧ください。
ラミクタールとの併用注意の薬
ラミクタールとの併用に注意が必要となる主な薬は以下の通りです。
- バルプロ酸ナトリウム
- グルクロン酸抱合を誘導する薬剤
- フェニトイン
- カルバマゼピン
- アタザナビル
- リトナビル
- カルバマゼピン
- リスペリドン
- フェノバルビタール
- プリミドン
- リファンピシン類
- ロピナビル・リトナビル配合剤
- 経口避妊薬
- 黄体・卵胞ホルモン混合製剤
こちらに挙げたものがすべてではないため、他の薬を使用している方は医師に確認をしてください。
ラミクタールの安全な服用方法
ラミクタールの安全な服用方法は以下の通りです。
- 徐々に増量する:最初は少量から始め、身体を慣れさせながら徐々に量を増やします。
- 毎日同じ時間に服用する:効果を安定させるため、毎日同じ時間に服用しましょう。
先述しましたが、自己判断で1回の用量を勝手に増やすことは厳禁です。服用する量によっては重篤な副作用が生じる恐れもあります。
ラミクタールは怖いに関してよくある質問
ここからは「ラミクタール 怖い」と検索する方がよく抱えている疑問や質問に答えていきます。
ラミクタールを急にやめたらどうなる?
医師の指示を聞かず、急にラミクタールの服用をやめた場合は「てんかん発作の再発」「双極性障害の悪化」などのリスクが高まります。
また、薬の離脱症状として睡眠障害・不安感の増幅・攻撃的な思考(イライラ)が生じる可能性もあります。
ラミクタールの副作用で太ることはある?
ラミクタールは他の精神安定系の薬よりも「体重が増加するような副作用の影響は少ない」と考えられています。
用法用量を正しく守っていれば、気分も落ち着きメンタル面からくる過食・暴食を抑える効果が期待できると言えるでしょう。
ラミクタール作用薬を飲んで不安感や吐き気を覚えることはある?
ラミクタールの副作用としては不安感の増幅・吐き気といったものも挙げられます。
双極性障害の改善のためにラミクタールを飲んでいて不安感が増す場合には、一度医師に相談してみましょう。
また、吐き気がひどいときは合わせて吐き気を抑える薬を処方してもらうといった方法もあります。
ラミクタールは高齢者(うつ病患者)も服用できる?
高齢者に関しては「慎重に投与すること」となっていますので、必ず医師の診察を受けてから服用するかどうかを決めてください。
ラミクタールを服用中にアルコールを飲んでも大丈夫?
アルコールを摂取することでラミクタールの副作用リスクが高まるといった報告はありません。
しかし、どちらも肝臓で分解されるものなので、治療中はアルコールを控えた方が賢明と言えます。
部分発作(部分てんかん)だけでなく症候性全般てんかんにも効果がある?
ラミクタールは部分発作(部分てんかん)だけでなく、脳自体に異変がある場合の症候性全般てんかんの治療にも用いられている薬です。
脳腫瘍や脳梗塞といった症状を治療する効果はありませんが、同様の疾患による全般てんかんを抑える効果は期待できます。
ラミクタール錠は個人輸入サイトで購入できる?
個人輸入サイト(通販サイト)の中にはラミクタール錠を取り扱っているところもあります。
ただし、副作用が大きい薬なので、出来る限り医師からの診断・処方を受けての服用を推奨します。
ラミクタールの副作用には敗血症も含まれる?
ラミクタールの服用が直接的に敗血症を招くかどうかは不明ですが、重篤な副作用が生じた患者の中には同様の症状を伴っていた方もいるという報告があります。(急性多臓器不全が生じた患者の例)
参考:厚生労働省|ラミクタール® 錠小児用 2mg、5mg、ラミクタール® 錠 25mg、100mg による重篤な皮膚障害について
ラミクタールは使用用途を守り医師の指示に従い服用すること
ラミクタールは、てんかんや双極性障害の治療に対して非常に有効的な薬です。
しかし、その一方で重大な副作用も確認されているため、医師の指示にしっかり従うことが大切になってきます。
なお、用法用量を守っていても副作用が生じる可能性はゼロではありません。
重篤な皮膚障害発現例の内、用法用量を遵守した例は 57.8%14) というように、遵守例 でも相当数の発生があることが示唆されているため、リスクファクターを排除すれば 100%安全 に使用できるというわけではないことにも留意する必要がある。
当然、副作用には個人差があります。こうした点も理解した上で、病気の治療に対してラミクタールを用いるかどうかを決めましょう。