リスペリドンは「統合失調症」「小児性自閉スペクトラム症(ASD)」の治療を目的として開発された抗精神病薬です。
また、その作用から認知症患者に対する治療薬としても用いられることが多い薬となっています。
リスペリドンは抗精神病薬に分類されるお薬で、幻覚や妄想・興奮などの精神科的症状を抑えるための治療薬です。
もともとは認知症の治療薬ではありませんが、認知症でも同じような症状が出る場合に使われることがあります。
しかし、ネット上でリスペリドンを検索すると薬の性質や効果の強さから「やばい」「廃人になる」といった噂話が流れています。
この記事ではリスペリドンの正しい使用目的・効果・メリット・副作用・注意点などを詳しくまとめました。
リスペリドンを処方された方、処方してもらいたいと思っている方は、こちらの内容をご覧になってみてください。
リスペリドンの使用目的や「やばい」と言われる理由について
リスペリドンは抗精神病薬に分類される薬で、主に精神的な症状を改善するために使用されます。
簡単に言えば「気分を落ち着かせる(安定させる)」ための薬ですが、その性質から認知症の治療に用いられることもあります。
そんなリスペリドンの使用目的と「やばい」と言われる理由について詳しく見ていきましょう。
リスペリドンの使用目的と主な効果
リスペリドンは統合失調症に対する第一選択薬として知られ、昔から同症状に対する治療に用いられてきました。
効能・効果
統合失調症
小児期の自閉スペクトラム症の易刺激性
- 統合失調症の治療
脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで幻覚や妄想といった症状を軽減します。 - 小児性自閉スペクトラム症(ASD)
同症状に伴うイライラや攻撃衝動を抑える働きがあります。
冒頭でも伝えましたが、こうした作用が認知症の改善にも有効的と考えられ、高齢者への治療に用いられています。
ただし、本来の使用目的と異なるという点は理解しておきましょう。
リスペリドンは効きすぎる?「やばい」と言われる理由
リスペリドンが「やばい」と言われる理由のひとつには「薬が効きすぎて過鎮静を引き起こす」といった点が挙げられます。
そもそもリスペリドンはドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の受容体に作用し、神経活動を調整する薬です。
過剰な神経興奮を抑制するという部分が統合失調症や小児性スペクトラム症の治療に役立てられています。
しかし、服用する人によっては薬が効きすぎてしまい「過鎮静」を引き起こすケースもあるようです。
リスペリドンも服用する量に応じて鎮静を引き起こしますが、他の第1世代および第2世代抗精神病薬と比較して、通常の投与量範囲内(<6mg/日)での過鎮静の危険性は比較的低いと言えます。
リスペリドンの効果が出るまでの時間はどれくらい?
リスペリドンの効果が出るまでの時間は個人差があるものの、最高血中濃度に達するまでは1時間程度とされています。(4時間~21時間で半減する)
なお、症状の改善に繋がるまでの期間は数日~数週間ほどです。
効果が出るまでの時間的な目安
リスペリドンの効果を実感するまでの時間は以下の通りです。
- 即効性の症状
不安感の軽減や興奮の抑制効果などは数時間~数日で感じられる場合があります。 - 慢性的な症状の改善
幻覚や妄想の緩和には2〜6週間程度かかることが一般的です。
効果が実感できない場合
リスペリドンの服用を始めてから数日ほど経っても効果がいっさい実感できない場合には一度医師と相談しましょう。
もっとも控えるべき行為は「勝手に服用する量を増やすこと」です。
リスペリドンの副作用と注意すべき症状・対策
リスペリドンには多くの副作用が報告されていますが、これらは必ずしも全ての服用者に現れるわけではありません。
- よくある副作用
- まれに起こる重篤な副作用
- 副作用への対策
こうした副作用を知り、早めに対処することが重要です。
よくある副作用
- 眠気
初期段階で特に多く見られますが、服用を続けるうちに軽減することが一般的です。 - 体重増加
食欲が増進しやすいため、食事内容に注意することが推奨されます。 - めまい
血圧の低下によるもので、立ち上がる際に注意が必要です。
まれに起こる重篤な副作用
- ジスキネジア(不随意運動)
長期使用で発症する可能性があるため、定期的な診察が必要です。 - 高プロラクチン血症
ホルモンバランスに影響を与える場合があります。
副作用への対策
- 医師に相談
副作用が気になる場合は、すぐに医師に報告することが重要です。 - 生活習慣の改善
体重増加を防ぐために、バランスの良い食事と運動を取り入れましょう。
リスペリドンは高齢者の認知症治療に効かない?副作用は大丈夫?
リスペリドンは高齢の認知症患者によく見られる行動障害や心理的症状(不安感や苛立ちなど)の改善に用いられることが多い薬です。
また、認知症を患う高齢者を介護する方の負担軽減にも役立っています。
低用量のリスペリドンは高齢の認知症者に対して 安全で,精神症状や行動異常,特に焦燥性興奮,攻撃性,易刺激性,幻覚,睡 眠障害,不安症状,恐怖症に対して有効である
なお、ネット上では「リスペリドンは高齢者の認知症に効かない」といったコメントも散見されますが、上記の通り認知症に対する一定の効果が認められています。
リスペリドンが効果的な認知症の症状
- 興奮や攻撃性の軽減
認知症患者が頻繁に示す攻撃的行動や怒りの爆発を抑える効果があります。 - 不安感の緩和
不安や焦燥感を軽減し、患者の心理的安定を助けます。 - 幻覚や妄想の改善
認知症に関連した幻覚や妄想症状を和らげ、患者が安心して過ごせる環境を整えます。
使用における具体的なメリット
- 生活の質の向上
症状が緩和されることで、患者本人の生活がより穏やかになり、日常の活動がしやすくなります。 - 介護者のストレス軽減
患者の行動が安定することで、家族や介護者の負担が軽減される効果があります。
高齢の認知症患者が注意すべき副作用
高齢者がリスペリドンを服用する際に注意すべき点は「薬によるふらつきと転倒」です。
リスペリドンの作用によって頭がボーっとなってしまうと、普段は大丈夫なところでもふらついて転倒する恐れがあります。
また、その他の薬と併用することで吐き気・下痢・腎機能の低下などを引き起こす可能性があるため、必ず医師の診察を受けてから服用を開始しましょう。
リスペリドンを安全に使用するための注意点と医師への相談方法
リスペリドンを使用する際には、医師と密接に連携し安全に服用を続けることが重要です。
使用時の注意点
- 服用時間を守る
毎日同じ時間に服用することで、効果を最大限に引き出します。 - アルコールを控える
アルコールは副作用を悪化させる可能性があるため、服用中は避けましょう。
医師への相談ポイント
- 症状の変化を記録
副作用や症状の改善を詳しく記録し、医師に伝えることで適切な治療が受けられます。 - 他の薬との相互作用を確認
他に服用している薬がある場合は、必ず医師に報告してください。
リスペリドンを服用する際には用法用量を守ろう
「統合失調症」「小児性自閉スペクトラム症(ASD)」の治療に用いられるリスペリドンの効果・副作用・注意点などを詳しく解説してきました。
リスペリドンは即効性があり、気分が安定しない方にとって役立つ薬として知られています。
しかし、効果の高さゆえに強い副作用が生じる恐れもありますので、必ず用法用量を守りながら服用しましょう。