プロザックはアメリカを含め海外の国々で承認されている抗うつ薬です。1980年代に登場してから、世界的に有名な抗うつ薬として知られています。
- 主成分はフルオキセチン(Fluoxetine)
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類
- 適応はうつ病、強迫性障害、パニック障害、神経性大食症(過食症)など
プロザックはSSRIに分類される抗うつ薬ですが、日本では承認されていません。この記事では日本で認可されない理由や「やばい」と噂される原因を詳しくまとめました。
プロザックまたはジェネリック品(フルニル)の服用を検討している人は、こちらの内容をぜひ最後までご覧ください。
プロザックはやばい薬?効果や副作用を解説

ここではプロザックがやばいと言われる理由や基本的な概要(効果・副作用)を紹介していきます。
プロザックを含め抗うつ薬を服用する際は事前に効果・副作用をよく理解しておきましょう。
※効果・副作用については処方情報(PDF)を参考
プロザックがやばいと言われる理由|自殺願望や攻撃性の増加
プロザックは30年以上にわたってアメリカを中心に利用され続けてきた抗うつ薬です。
そんなプロザックが「やばい」と言われる理由は自殺願望や攻撃性の増加を助長する可能性があるためです。
1990年代までにプロザック服用中,急激に自殺願望が強くなった6名の患者に関して記した論文1)や研究により,プロザックの投与・中止と自殺の間に明瞭な容量反応関係があること,そして不安症患者の自殺はプラセボ投与患者のほうが薬物治療を受けた患者より少なかったことなどが発表された。
引用:医学書院|デイビィッド・ヒーリー教授来日講演会より
プロザックの商品説明欄には「若年者における自殺念慮リスク」が記載されており、うつ病や強迫性障害からの自殺企図が懸念されています。
また、プロザックの服用および他の薬との併用によって自己・他人への攻撃性が増加することも懸念材料のひとつとして挙げられます。
副作用名:攻撃性
他害行為の内容:夫とケンカしている間に衝動的に強暴、母親に暴力を振るう。
併用薬:ロフラゼブ酸エチル、フルオキセチン(Prozac)、塩酸クロミプラミン
主病名:パニック障害、抑うつ状態
参考:厚生労働省HP|選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等について
プロザックの効果|うつ病・パニック障害・過食症など
正しい形でプロザックを服用した場合の主な効果は以下の通りです。
- うつ病
- 強迫性障害
- パニック障害
- 摂食障害(特に過食症)
- 月経前不快気分障害
プロザックはセロトニン濃度を高めることで気分の落ち込みを軽減し、うつ症状を改善する薬として利用されています。また、強迫性障害やパニック障害における不安感・過度の緊張を和らげるのにプロザックは有効的です。
プロザックの副作用|不安・不眠・離脱症状など
プロザックの主な副作用は以下の通りです。
- 吐き気や胃のむかつき(初期段階に多いとされる)
- 不眠症状(セロトニンのバランス変化による)
- 不安感・焦燥感(初期段階に強まる傾向にある)
- 性機能障害(性欲減退や勃起不全など)
- めまいや口の乾き(一時的な自律神経への影響)
- 自殺念慮リスク(特に注意が必要)
日本で承認されている抗うつ薬(SSRI)にも同じような副作用はありますが、自殺念慮リスクはプロザックほど高くありません。
プロザックは製造・販売当初からうつ病の改善に効果的とされ、アメリカでは主流の抗うつ薬として扱われてきました。
プロザックを服用することで自殺念慮が強まる理由としては、以下の流れが考えられます。
やる気や意欲が上がる⇒少し遅れて気分の落ち込みが改善される⇒まだ鬱症状や絶望感は残っている状態⇒自殺を実行に移すエネルギーが上がってしまう可能性がある
プロザックを服用すると、あくまでこうした現象が起こり得るかもしれないということです。
プロザックが日本で認可されない理由|厚労省による判断基準
イメージ.jpg)
ここではプロザックが日本で認可されない理由や現在の製造状況などを解説していきます。
合わせて日本で承認済みの抗うつ薬(SSRIに分類されるもの)を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
日本人が服用した場合の安全性に関する十分なデータがない
プロザック(有効成分:フルオキセチン)が日本で認可されなかった理由は「日本人が服用した場合の安全性に関するデータが不十分だった」ためです。
フルオキセチンは、本邦においては成人を対象とした抗うつ薬としての製造販売承認取得を企図して海外データを外挿するためのブリッジング試験が実施されたが、承認申請に足るデータが得られず、申請には至らなかったという開発経緯がある。
引用:厚生労働省HP|未承認薬・適応外薬の要望に対する企業見解
過去から現在において日本でフルオキセチンが承認されたことはなく、保険調剤として販売はされていません。
プロザックを入手するためには個人輸入サイトを利用することになりますが、この場合はすべて自己責任となります。
日本で承認されている抗うつ薬(SSRI)の種類
現在のところ、日本で承認されている主な抗うつ薬(SSRI分類のもの)は以下の通りです。
- フルボキサミン(医薬品名:ルボックス、デプロメール)
- パロキセチン(医薬品名:パキシル、パキシルCR)
- セルトラリン(医薬品名:ジェイゾロフト)
- エスシタロプラム(医薬品名:レクサプロ)
厚生労働省で認可された医薬品は一定の安全性・信頼性を担保するものであり、処方箋薬として取り扱われています。(保険が適用される)
補足:2024年からプロザックは世界各国で取り扱い・製造中止になっている
2025年時点で、プロザックは世界各国で取り扱いが中止されています。また、製造元であるイーライリリー・アンド・カンパニーからも2024年に製造の中止が発表されました。
Production of the antidepressant Prozac will end globally at the end of 2024, drugmaker Eli Lilly and Company said Tuesday after announcing in August the drug will soon be withdrawn from the Taiwan market.
引用:Focus Taiwan|Drugmaker to end global production of antidepressant Prozac
上記の意訳は「製薬会社のイーライリリー・アンド・カンパニーは2024年末をもって抗うつ剤プロザックの生産を世界的に終了すると火曜日に発表した。同社は8月に同薬が台湾市場から間もなく撤退すると発表していた」となります。
こちらは台湾メディアによる情報ですが、このほか2025年4月にオーストラリアの政府HPでもプロザックの取り扱いを中止する旨が発表されていました。
プロザックのジェネリック品やその他の抗うつ薬

ここではプロザックのジェネリック品やその他の抗うつ薬に関する情報を簡単に紹介していきます。
抗うつ薬の種類が分からない人・選び方に悩んでいる人は、こちらの内容を参考にしてみてください。
プロザックのジェネリック品「フルニル」
フルニルはプロザックのジェネリック品として流通している抗うつ薬です。
製造・販売元はインドにあるインタスファーマ社となっています。
そのほかの抗うつ薬「アナフラニール」「トリンテリックス」
アナフラニール(有効成分:クロミプラミン)とトリンテリックス(有効成分:ボルチオキセチン)は、どちらも日本で認可されている抗うつ薬です。
- アナフラニール(クロミプラミン):三環系抗うつ薬の一種で、抗うつ作用だけでなく遺尿症治療などにも使用される
- トリンテリックス(ボルチオキセチン):SSRIの作用を持ちながらセロトニン受容体調節薬(S-RIM)としての効果も認められている
トリンテリックスは2019年に厚生労働省により承認された比較的新しい抗うつ薬です。従来の抗うつ薬よりも副作用が少ないといったメリットがあります。
補足:プロザック・フルニル・アナフラニール・トリンテリックスに痩せる効果はある?
プロザックやフルニルには過食症を抑制する作用があるものの、直接的なダイエット効果はありません。(食事量が減ることで相対的に体重が減る可能性はある)
また、アナフラニールやトリンテリックスにもダイエット効果はないので、痩身目的での服用は避けましょう。
「プロザック やばい」や他の抗うつ薬に関してよくある質問
ここではプロザックや他の抗うつ薬に関してよくある質問に答えていきます。
自分が気になっている点を確認してみてください。
プロザックは通販サイトで買える?
プロザックは通販サイト(医薬品の個人輸入サイト)から購入できますが、服用に際するリスクはすべて自己責任となります。
プロザックの効果が出るまでどれくらい掛かる?
プロザックの効果が現れるまでの期間はおよそ1ヶ月~2ヵ月です。そのため、即効性がある抗うつ薬とは言えません。
アナフラニールの強さは?やる気が出る?
アナフラニールには「脳のセロトニンとノルアドレナリンの働きを活発にする作用」があります。
これにより様々な意欲を高め、やる気を出しやすい状態にするというのがアナフラニールの効果です。ただし、副作用として強い眠気が出やすい点には注意が必要となります。
プロザックはやばい薬ではないが世界的に製造中止となっている|他の抗うつ薬を推奨
「プロザックはやばい薬なのか?」という疑問を解消するために、効果・副作用・懸念すべきリスクなどを詳しく解説してきました。
<結論>
◆プロザックはアメリカで開発・承認されている抗うつ薬(SSRIの一種)
◆一定の自殺念慮リスクがあるため「やばい」と言われている
◆日本では安全性が確認されていないため未認可のまま
プロザックはうつ病の改善に効果的な医薬品として世界中で使用されていましたが、現在は製造中止・取り扱い中止とする動きが目立っています。
いまでもプロザックやジェネリック品(フルニル)は個人輸入サイト経由で購入できますが、服用する際にはリスクを十分に理解しておきましょう。


